事業承継税制とは
中小企業の後継者に現経営者が所有する会社株式を後継者に承継させる際の納税猶予制度です。
・相続税による場合は、対象となる会社株式の80%
・贈与税による場合は、対象となる会社株式の100%
に相当する税金の納税が要件を満たす限り猶予される制度です。
事業承継スケジュールは長期間
中小企業の経営者の高齢化していること、事業の後継者が不在である企業が多いのが現状です。そのため事業承継税制が構築されるまで経営者の引退を契機に廃業する事態となることが多かったです。
しかし、日本を支えている中小企業の技術やノウハウの伝承、また、経営者とともに歩んできた従業員の雇用確保の観点から事業承継の計画を立てる必要があります。
では、事業承継の計画は即時にできるのか?事業承継の計画は、最終的には長い期間を要します。そのため、現段階からいざという時のために計画を立てて進めておく必要があります。また、実際に事業承継後も計画に沿っているかどうか確認していく必要がありますので、事業承継を得意とする専門家をパートナーとして問題に対処していきましょう。
平成25年改正で事業承継税制が活用しやすく!!
平成25年税制改正により旧事業承継税制より活用しやすくなりました。
1.事前確認の廃止
平成25年4月から経済産業大臣の事前確認を受けていなくても制度の利用が可能にな ったため手続きの負担が軽減されました。
2.親族外相家の対象化
平成27年1月から親族外承継を対象化したことにより親族に限らず適任者を後継者と することが可能になりました。そのため親族に後継者がいない経営者でも会社を従業員 等に承継させることが可能となります。
ただし、平成26年12月31日までは、後継者は現経営者の親族に限定されています。
3.雇用維持要件の緩和
平成26年12月31日まで、相続・贈与時以後、雇用の8割以上を5年間毎年維持するこ とが要件でしたが、景気変動を配慮することで、平成27年1月以降は相続・贈与時以後 、雇用の8割以上を5年間平均で維持されているかどうか判定することとなりました。
4.納税猶予打ち切りに伴うリスクの緩和
① 利子税負担を軽減
要件を満たせずに納税猶予打ち切りの際は、利子税の負担が必要となります。平成26 年1月からは利子税率が0.9%に引き下げられ、平成27年1月からは承継5年超で、5 年間の利子税を免除されます。
② 民事再生計画など事業再出発に配慮
平成26年12月31日までは、相続・贈与から5s年後以降は、後継者の死亡または会社 倒産により納税猶予となるが、平成27年1月からは民事再生、会社更生、中小企業再生 支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、一部の納税額が免除されま す。
5.現経営者の役員退任要件の緩和
平成26年12月31日までは現経営者は、贈与時に役員を退任することが要件ですが、 平成27年1月から贈与時の役員退任要件を代表者退任とする要件となり、役員として残 留することが可能となりました。
そのため、先代者の信用力・看板を活用することが可能となります。
6.債務控除方式の変更
平成26年12月31日まで納税猶予額の計算で現経営者の個人債務・葬式費用を株式か ら控除するため、納税猶予額が少なく算出されます。しかし、平成27年1月から現経営 者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除することが可能となるため納税 猶予額が多く算出されることとなります。