屋号、事務所の準備は?
1.屋号を考えましょう
いままで会社勤務をされていた方は、会社の看板を背負って商売をしていたわけですが、これからは自分を売り込んでいくこととなります。ネームバリューのある方ならば個人の名前で信用がとれますが、そうでない場合は屋号があるかないかで相手に与える印象が変わってきます。
まず、屋号をつけることで相手に与える印象を良くしていくことをお勧めします。
また、屋号をつける際にもう一つ考えておくべきこととして、会社法の改正により株式会社・合同会社の設立が容易になったことです。個人事業も順調に業績が上がっていけば会社設立も視野に入れて置くとそのまま会社名になるということも考えておきましょう。
ただし、近隣に同じ屋号の会社がないかをは調べておきましょう。後々、商標権の権利などトラブルを避けるためにも重要です。
2.事務所の場所を選びましょう
事業所は営む事業によって都合がいい場所が望ましいでしょう。ただし開業当初は資金繰りを考え自宅とする方が多いですが、ポイントをしっかり考え事業所をどこにするか考えてください。ポイントをすべて満たしている場所であれば営業次第で好スタートが切れる可能性もあります。
① 業種業態商圏内の客層がマッチするかどうか
② 自分の事業に関係する人・会社が多く集まる場所かどうか
③ 交通の便が良いかどうか
④ わかりやすい場所かどうか
⑤ 競合店が少ない場所かどうか
⑥ 将来的に都市開発など発展が見込まれる場所かどうか
⑦ 通勤圏内かどうか
各届出書の提出は?
個人事業を行う場合公官庁へ提出する届出書があります。届出書類によって提出期限が異なり、また、提出するかしないかで税務上有利不利がはっきりと分かれるものもあります。ご注意ください。
《税務署届出》
・個人事業の開廃業届出書…………開業の日から1ヶ月以内
・所得税の棚卸資産の評価方法、減価償却資産の償却方法の届出書
…………最初の確定申告書の提出期限まで
※届出をしない場合は、棚卸資産は「最終仕入原価法」減価償却資産は各資産ごとの 「法定償却方法」が適用されます。
・所得税の青色申告承認申請書………………開業の日から2か月以内
※開業の日が1月1日から1月15日までの場合は、3月15日まで
・青色事業専従者給与に関する届出書………上記「所得税の青色申告承認申請書」と同 じ
・給与支払事務所等の開設届出書……………給与支払事務所等を開設した日から1ヶ月 以内
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
……………特に期限なし
《都道府県税事務所届出》
・個人事業税の事業等申告書…………各都道府県によって期限が異なります。
東京都、埼玉県の場合 開業から15日以内
帳簿作成が事業の課題
事業を行っていくうえで必ず気を付けることとして「生活費と事業経費の分離」です。
自分が経営者兼営業マンであり時間がない中でもこの帳簿作成をしっかりしているかどうかが資金繰りの状況・節税対策にもなります。あまりにも時間がないという方はこれだけでも上手く活用してください。
1.現金出納帳(お小遣い帳、家計簿ぐらいの感覚で手許現金の取引を記載)
2.1以外は通帳を活用することで帳簿の代わりとなります。
この二つをしっかりしておけば事業の状況が把握しやすいでしょう。
白色申告の方も記帳・帳簿等の保存が必要に! 青色申告者に変わる次期です。
平成26年1月から白色申告の方で事業や不動産貸付等を行うすべての方は、記帳と帳簿書類の保存が必要となることとなりました。そのため、青色申告による決算書作成とあまり変わらないということです。白色申告者の方は、青色申告の承認申請をお勧めします。同じ記帳作業をするだけ10万円の青色申告特別控除を適用できる可能性がありますので検討してはいかがでしょうか。
1.白色申告者が今後必要となる記帳内容
売上などの収入金額、仕入れや経費に関する事項について、取引年月日、売上先・仕入れ先その他の相手方の名称、金額、日々の売上・仕入・経費の金額等を帳簿に記載します。日々の合計金額をまとめて記載するなど簡易な方法で記載してもよいこととなっています。
2.帳簿等の保存と保存期間
収入金額や必要経費を記載した帳簿のほか、取引に伴って作成した帳簿や受け取った請求書・領収書などの書類を保存する必要があります。
① 帳簿
・収入金額や必要経費を記載した帳簿は7年間保存が必要です。
・業務に関して作成した上記以外の帳簿は5年間保存が必要です。
② 書類
・決算に関して作成した棚卸表その他の書類、業務に関して作成し、または受領した請 求書、納品書、送り状、領収書などの書類は5年間保存が必要です。
以上のことから、特典の多い青色申告者が作成する決算書・帳簿と手間暇がさほど変わらなくなります。青色申告者へ変わる次期ではないでしょうか。